ALLIANCE FOR THE BLUE始動。キックオフミーティング 開催報告

ALLIANCE FOR THE BLUE始動。キックオフミーティング 開催報告

一般社団法人ALLIANCE FOR THE BLUE(以下AFB)は、新型コロナウイルスの影響で、開催が延期となっていたキックオフミーティングを7月29日に開催しました。日本財団や協働企業14社のほか、企業やメディアの方々に参加いただきました。なお、当日はオンラインで同時配信しました。

AFBは2020年3月に設立後、日本財団と協働企業14社との取り組みを進めており、日本財団、協働企業、AFB事務局のそれぞれが「海洋プラスチックごみが出ない社会の構築」に向けた想いや取り組みを紹介し、「経済合理性の壁を超える」「生活者の価値観や行動変容を生む」という共通する課題が認識されると共に、「業界を超えた協働」や「実証実験の場」の必要性とそれらを提供するAFBの役割への期待が共有されました。

「海に守られる日本から、世界の海を守る日本」を目指す
主催挨拶として登壇した日本財団会長 笹川陽平氏は、「海ごみの問題は人類存続の生命線であり、1,000年スパンの超長期視点で海洋保全に取り組む必要がある。海はつながっており、国や組織を越えてともに課題解決を図らないといけない」との見解を示され、AFBには、日本財団をプラットフォームとして活用し、多様な企業間で連携を行い、新しい素材の開発や海洋の産業のイノベーションを起こすことを期待している」とコメントをお寄せいただきました。

今こそ、業界横断的で実践的なアライアンスを組む必要がある
日本財団 常務理事 海野光行氏から、日本財団のこれまで取り組んできた「海と日本プロジェクト」による調査結果や多様なセクターとのモデル事業をご紹介いただきました。新たに発足したAFBの存在意義は、海ゴミ問題の本質的な解決に欠かせない「業界を越えた横断的な連携」と、商品開発やプロトタイプの販売といった「社会実験を実践する場」だと強調されました。

AFBの主要プロジェクト 海ごみの抑制に向けた調査やモデル事業を進めます
AFBアライアンスコーディネーターの堀口瑞穂から、AFBの狙いやこれから注力する「漁網利用の実態調査と海ゴミ化の抑制」「容器利用と再資源化の試行・検証」「海とのつながりを実感する仕掛け作り」三つのプロジェクトを説明しました。

海ゴミ問題解決に向けた各社の課題認識と改善のための活動
協働企業14社を代表し、コクヨ株式会社、リファインバース株式会社、大日本印刷株式会社から各社の課題認識と現在の取り組みを紹介いただきました。

コクヨ 井田幸男氏(経営推進室 事業推進センター センター長)
・ 既に2つの社内プロジェクトを立ち上げ、海ごみ問題の解決への貢献と企業の価値を高める事業の立案を目指している。
・ 社会課題の解決と事業成長を同時に目指すこれらのプロジェクトは、社員の成長の機会だと認識しており、大いに期待している。
・ プロジェクトを通じて「経済合理性の確保」や「購入する生活者の意識啓発が必要なこと」などの主要な課題を把握できた。
・ 両プロジェクトを通して「海に優しいことをするのがスタイリッシュなライフスタイル」という生活者の価値観の形成を目指したい。

リファインバース 加志村竜彦氏(常務取締役)・ カーペットタイルを始めとしたリサイクルを実施しているが、「漁網の回収と再資源化」事業も北海道を拠点に行っている。・ 実際に漁網のリサイクル事業を通して、「いかに均質な漁網を大量に回収するか」や「再資源化したプラスチックの品質とコストを両立すること」が課題だと考える。

大日本印刷 中込隆氏(CSR・環境部部長)
・ 多岐にわたる容器包装や梱包材を扱っているが、近年お客様から、リサイクルしやすい素材や生分解性素材などを使用した環境配慮型製品への要求の高まりがある。
「品質とコストの両立」が課題であり、容器包装に関わる異業種間の連携を通して、その両立に挑戦したい。

本質的な課題解決に必要なことは何か。 (パネルディスカッション)
その後に開催したパネルディスカッションでは、事例を紹介いただいた3社のほか、三菱ケミカル株式会社、menu株式会社、日本財団にもご登壇いただき、「各社からみた海ゴミ問題解決の課題」を共有した上で、「本質的な課題解決に必要なこと」を議論しました。
課題としては、主に「経済合理性の確立:環境面の配慮と品質・コストとの両立」「購買する生活者の意識啓発」「循環モデル実現のための法整備」などが挙げられました。
また、本質的な課題解決のためには、「さまざまな企業と協働し、さまざまなトライアルや実証実験を行うこと」「生活者の意識啓発には各社の技術や、仕組み、商流などを活かすこと」「海洋環境保全をリードする新ブランドの確立」「地方企業との連携強化」などさまざまなアイデア、工夫、意見が出され、大いに盛り上がりました。

海の豊かさを守る商品づくりと、持続可能な仕組みづくりを実践していきます
AFBでは、生活者に提供する商品やサービスができるまでのさまざまなプロセスにかかわる企業が認識する課題を共有し、その課題の根本原因を究明する活動や、実際に解決する方法を考え、実証実験し、海の豊かさを守る商品づくりと、持続可能な仕組みづくりを実践していきます。