海洋プラスチックごみ削減へ。廃棄漁網に続き「使用済み漁業用フロート」のリサイクル・商品化を協働企業と連携し実現
使用済み漁業用フロート(EVA製)を活用した人工皮革を初めて*開発。 (*当社調べ)
その人工皮革を使用し製造されたバッグの限定販売の予約受付を10月21日より開始
公益財団法人日本財団とのコラボレーションにより設立された一般社団法人Alliance for the Blue(東京都港区、以下「当社」)は、使用済みの漁業系廃棄物のリサイクル・アップサイクルを通じて海洋プラスチックごみ問題の解決を目指しています。これまで協働企業と共に使用済みの廃漁網のリサイクル、それらを活用した生地や商品の開発に取り組んでいますが、この度、漁業系廃棄物でリサイクルが困難とされてきたEVA製の漁業用フロートのリサイクル、それらを活用した人工皮革の開発、商品作りを挑戦。2023年より、漁網と並び毎年多くの廃棄物となっている漁業用フロートの有効活用を目指し、株式会社FUMIKODA(以下「FUMIKODA」)、大同化成株式会社、ニチモウ株式会社との連携プロジェクトを推進してまいりました。
その結果、大同化成株式会社との連携により、EVA製の使用済み漁業用フロートを活用した人工皮革「Ocean V leather(オーシャンブイレザー)」の開発に成功。そしてFUMIKODAが、このOcean V leatherを使用した「BOXY TOTO BAG MARIANA(マリーナ)」を製造し、2025年10月21日(水) 17時より、FUMIKODAオンラインブティックにて先行受注を開始しました。

漁業用フロートは、漁網やロープを水面に浮かせるための浮子(うき)であり、浮力材として漁具や網を支えたり、防舷材や海中での位置を示す目印としたりなど漁業現場で広く活用されています。日本国内で年間約1,500トンが製造され、ほぼ同量が廃棄されていると推計されています。まき網漁や、漁船の防舷材や港湾の仕切りの目印などで使用された後、回収され産業廃棄物として、埋め立て・焼却されています。しかし漁業用フロートは、嵩張るため運送コストが高くなること、リサイクル処理方法が確立されておらず、焼却するには焼却炉を傷めることや、嵩張るため埋め立て容積が大きく廃棄コストも高くなることから、一部は適正に処理されず、漁港などに放置され、海への流出が懸念されています。
漁業用フロートは大きく分けて、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)や塩化ビニル製を原料とした発泡体、ポリエチレン(PE)、ABSなどを原料とした中空のものがありますが、今回開発したOcean V leatherは、使用済みのEVA製フロートをマテリアルリサイクルしたもので、その含有率は25%となります。
今回使用したEVA製漁業用フロートは、赤道付近でマグロやカツオのまき網漁で使用されて来たもので、水産専門商社であるニチモウ株式会社が回収したものです。

回収されたフロートは、合成樹脂開発に高度な技術を有する大同化成株式会社により、マテリアルリサイクルされ、高品質な人工皮革(Ocean V leather)が開発されました。
そして、働く女性に人気のバッグブランドFUMIKODAが、その人工皮革(Ocean V leather)を使用したバッグを商品化、2025年10月21日(水) 16時より、FUMIKODAオンラインブティックにて先行受注を開始いたします。
当社は、2022年から内外ゴム株式会社と連携し、EVA製漁業用フロートの再利用を検討しており、今回の成果に繋げました。
本活動の成果として、以下の2点が挙げられると考えています。一つ目は、初めて漁網以外の漁具である漁業用フロートの活用を実現できたこと、もうひとつは、原料素材として初めてEVAの再利用に挑戦し、それらのマテリアルリサイクルを実現し、人工皮革を開発できたことが成果だと認識しています。
今後もより多くの漁業系廃棄物の活用を推進し、海洋プラスチックごみ問題の解決に貢献してまいります。

一般社団法人Alliance for the Blue
公益財団法⼈⽇本財団とのコラボレーションにより2020年1⽉に設⽴。恵み豊かな海を次世代に継承するために世界的に深刻化している海洋環境問題に対して、企業間で連携した対策モデルを創出する業界横断のプラットフォーム。「商品づくりを通じた海ごみ問題解決」や、その売上の一部や寄付を通じた「持続可能な藻場の再生モデルの構築」を目指し、バリューチェーンを跨る業種の異なる企業や、地方自治体、漁業関係者など約80の企業・団体と協働し、活動を推進しています。
Website:https://www.alliancefortheblue.org/
株式会社FUMIKODA
すべての仕事シーンにウェルビーイングを届けるというミッションのもとに、IT関連企業を経営するクリエイティブディレクターの幸田フミが立ち上げた日本発のバッグブランド。動物由来素材を一切使用せず、代わりに高級車の内装にも使われる日本製の人工皮革や、廃棄予定の資材を再利用したアップサイクル素材を活用しています。
製品は国内の熟練の職人が一つ一つ丁寧に仕立てており、アップサイクル製品の一部は障がい者就労支援施設に製作を委託。2016年の創業以来、できるだけ持続可能な素材選びと、誰もが誇りを持てるものづくりを目指しながら、機能性とサステナビリティを両立させたプロダクトは多くの共感を呼び、ビジネスパーソンを中心に支持を集めています。
Website:https://fumikoda.jp/
大同化成株式会社
合成樹脂・プラスチック製品の設計・製造を中心に、産業用部品から生活用品まで幅広い分野に対応する総合メーカーです。高度な樹脂成形技術と材料開発力を活かし、軽量化・耐久性・機能性に優れた製品を提供。顧客のニーズに合わせた設計や量産体制を整え、品質管理・環境対策にも注力しています。持続可能な素材活用と技術革新を通じて社会課題の解決に貢献しています。
Website:https://daidokasei.co.jp/
ニチモウ株式会社
「浜から食卓まで」をトータルでサポートする事業を展開する1910年創業の水産専門商社です。なかでも祖業である海洋事業は創業以来培ったノウハウと確かな研究開発を通じて、漁網・漁具をはじめ船舶、船舶機器、船用品、養殖資材などさまざまな製品と技術を提供し、顧客の発展に貢献するとともに、関連するさまざまなサービスも提供することで漁業・水産業のビジネスサポーターとして企業運営を進めております。加えて近年では環境への配慮を重視した生分解性の漁業資材の供給や使用済み漁網・漁具をリサイクルする事業も積極的に展開し、二酸化炭素の削減を通して海洋環境の保全に貢献する事業も推進しています。
Website:https://www.nichimo.co.jp/