釣りごみの実態を調査。その解決に向けたワークショップを開催

釣りごみの実態を調査。その解決に向けたワークショップを開催

近年、関心が高まるレジャーのひとつとして挙げられるのが「釣り」。自然を体感でき、魚とのやり取りも楽しめ、釣果も魅力の一つであることから多くの人が新たに釣りを始めています。一方、マナーの悪い釣り人によるごみの投棄。悪気はないものの根がかりなどで放出してしまうエギ、釣針、釣糸、おもりなど問題も数多くあります。 これらの問題の解決の糸口をつかむため、Alliance for the Blueは、協働企業であるゴールドウイン様、リファインバース様、TRIFE DESIGN様と協働し、釣りのメッカである三浦半島城ヶ島で「釣りゴミゼロに向けた海底清掃&座談会 Workshop for the Blue」を開催しました。

当日は城ヶ島ダイビングセンター様の全面的なご協力のもと、東海大学大学院 海洋学研究科で海底清掃に取り組む「Make SEA Beautiful」の学生3名も加え、総勢25名に参加いただき、調査チームと回収した釣りごみの分別の二つのチームに分かれ、作業を開始しました。

<想像を越える釣りごみを回収>
調査チームは、参加者から4名のダイバーが実際に海底に潜り、釣りごみの回収を行いました。調査ではこの日のために作られた海底の詳細な立体模型を参考にし、釣ごみが多そうな海底を中心に回収を行いました。

結果は僅か40分の回収で写真の通り多くのエギ、ジェット天秤、糸、おもりなど多くの釣りごみが回収されました。ダイバーの方によると、これらの多くは複雑に絡まっており、また、海底の砂に埋もれ回収できなかったものも多数あったとのこと、回収作業を継続することの大切さを実感しました。

<回収した釣りごみを分別。アップサイクル、リユースできるものはあるか>
もう一つのチームは、城ヶ島ダイビングセンターのみなさまが定期的に回収している釣りごみの分別を行いました。現在これらの回収はダイビングセンターのみなさまがボランタリーに行ってくれていますが、効果的に回収作業を行うには経済合理性が必要であり、アップサイクル、リユースして売れるものがあるかを検証することも目的の一つでした。安全対策として手袋や、ニッパー、ハサミ、ラジオペンチなどが支給され、作業を開始。悪臭と闘いながら、糸と複雑に絡まり合ったエギやジェット天秤、おもりを分別していきました。

結果、ジェット天秤29個、おもり14個、カゴ12個、エギ81個、他ルアー73個とたくさんの釣糸に分別することが出来ました。高価なエギは一部で既にリユース品の販売も始まっており、分別したもの野中で売れるものがあるのではと期待しましたが、多くのものは投棄されてかなりの月日が過ぎていると思われ、付着物がこびりついており、残念ながらリユースには向かないものが大半でした。また、小さなエギは可愛いものが多くキーホルダーやピアスなどの装飾品にアップサイクルできないかとの意見も出ていました。※重すぎるなど乗り越えるべき課題は数多くありますが・・・中には不要になったエギやおもりを釣り糸で巻き付けて投棄してあるものもあり、改めてマナーの重要性も実感しました。

<課題を共有し合ったワークショップ>
作業を終えた後、参加者全員でワークショップを行いました。静岡で海底清掃を実施している東海大学のチームから活動紹介のあと、現状起きている海ごみ問題、特に海遊びに関わるごみ問題を共有されました。

そして、小グループに分かれて、釣りゴミを減らす方法、海遊びグッズを海に優しくする方法を、個人、地域、企業の観点で、どうすれば防止、最小化、回復・復元できるかなどを議論しました。
参加者からは、「釣人の意識啓発が必要だ」「釣人が汚し、ダイバーが回収する構図を解決する必要がある」など海遊びに関わる個人の意識啓発を訴える声が上がると共に、「本業である製品で解決に貢献したい」「釣人が喜んでゴミ箱を利用するためにナッジ手法を活用するなど、本業のデザインを活かした貢献がしたい」「釣具や海遊び製品の生産・販売者に回収を義務付ける仕組みが必要だ」など企業が本業で取り組むことの重要性が熱く語られました。また、これらの活動を継続するための経済合理性の重要性や、継続するために多くの企業や、大学、地域、釣人、ダイバーが連携することの重要性が話し合われました。

これらの課題は簡単に解決できるものではありませんが、Alliance for the Blueでは、協働企業や関連団体、地域のみなさまと連携し、今後も継続して実態調査と解決策の立案に向けて活動を継続して参ります。