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漁網ドレスから対話を生む、海と資源の未来。「海と循環の会議」レポート

2025.12.03

Alliance for the Blue(以下、AFB)は12月3日(水)、横浜市認定歴史的建造物 BankPark YOKOHAMAで開かれた、「海と循環の会議」 (主催:株式会社サヴァン、東京海洋大学の学生から構成される団体「igoan」、共催:株式会社竹中工務店)に、協働企業のニチモウ株式会社とともに参加しました。本会議は、会場に展示されたアートオブジェ「漁網ドレス」のお披露目にあわせ、海洋環境と資源循環をめぐる課題を“自分ごと”として捉え直し、次の行動につなげていこうと開催されたものです。

漁網ドレスは、ニチモウ株式会社が提供した廃棄漁網などを活用して制作されました。当日は、漁網ドレスの素材提供を行った民間企業のほか、海洋環境問題に取り組む環境省、教育関係者、児童・学生、メディアなど16名が参加し、AFBからは代表理事の野村浩一が出席しました。

会場では、漁網ドレスを制作したアーティストの幾田桃子さんによる作品紹介に続き、東京海洋大学の学生団体「igoan」で環境教育活動を通じて水圏の魅力を伝える取り組みを行う中川夏舟さんから、海洋汚染をめぐる問題提起が行われました。議論の中では、海に根ざした商品や各団体・企業の取り組み紹介に加え、SDGsモデル小学校の児童代表による「プラスチックごみ回収をしやすくする」提案などもありました。

廃棄漁網リサイクル原料などを活用したアート作品

アートオブジェ「漁網ドレス」

会場となった BankPark YOKOHAMA 2階バルコニーに展示された漁網ドレスは、MOMOKO CHIJIMATSU (幾田桃子さん、千々松由貴さん)が制作しました。竹中工務店の廃材やニチモウの廃漁網、ホタテの貝殻を15%配合した漁網素材、30年前のアクリル、廃棄マベ貝などで構成されています。

幾田さんは本作品について、「社会問題を皆で学び、行動する希望の松明を表現しています」と解説しました。また、「私たち人間には、美しい海と美しい未来をデザインする使命があると考えています。皆さまとともに環境問題の解決に向けた行動を考え、実践していけることを強く願っています」と語りました。

作品を制作したアーティストの幾田桃子さん

作品に廃棄漁網を提供したニチモウ株式会社海洋営業部長の箕澤毅さんは、「100年にわたって魚網を扱ってきた当社にとって、海洋環境の変化は非常に大きなテーマです。未来永劫、海とともに暮らせる社会を目指して、何ができるのかを考え続けています」と述べています。

海洋環境課題の解決に向け、それぞれの立場でできること

東京海洋大学の中川さんは、研究機関による調査や実験の事例を交えながら、マイクロプラスチックやサンゴの白化など、海洋環境をめぐる課題 を提起しました。中川さんからの「皆さんは、海のどんなところが好きですか」という問いかけに応じて、参加者がそれぞれの思い出を振り返る場面もあり、実感しにくい海の問題を、まずは「身近に感じる」ことの大切さが、改めて共有されています。

こうした問いかけを皮切りに、企業からは、「環境配慮の取り組みを、どうすれば“自分ごと”として感じてもらえるのか」という問いが繰り返し語られ、価格や量産、認知といった実務上の課題が挙げられました。

AFB代表理事の野村も、海の問題が深刻である一方、「海のことは難しい」「よくわからない」という意識が、行動のブレーキになっている現状に触れました。その上で、すでに海洋環境問題を身近に感じている子どもたちに、廃棄漁網がどのように活用されているかを実感してもらえるスクールバッグなど、PRODUCT for the BLUE(PfB)の商品開発事例を紹介しています。「多くの人に使ってもらい、適正な価格で購入してもらうための工夫」が、今後の課題の一つです。

廃棄漁網を再生した生地を使用して開発したスクールバッグ

これを受けて、サステナブルコスメやアパレルに詳しい参加者からは、生活排水が環境汚染につながりにくい化粧品や、未利用資源を活用した素材開発など、「消費者に負担をかけずに海洋環境問題を解決する」事例が紹介されました。こうした取り組みに共感の声が寄せられ、消費と環境保全を対立させない視点についての議論が深まりました。

他の参加者からも、「消費者がお金を払ってでも買いたい、使いたいと思えるプロダクトを作ること」の重要性や、「(思わず手に取りたくなる)デザイン性の高さと、使うことへのワクワク感を掛け合わせたアプローチ」への期待が寄せられました。これらの意見は、AFBが大切にしてきたプロダクト開発への姿勢とも重なっています。

本会議では、立場や世代の異なる参加者の意見に触れ、新たな視点を得る機会となりました。AFBでは、この場で交わされた対話や出会いを次の行動へとつなげながら、海の課題を「遠いこと」ではなく「身近に感じてもらう」をための実践を、AFB協働企業の皆さまとともに積み重ねてまいります。

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