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SUPPORT for the BLUE

藻場再生プロジェクトとは?

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藻場の減少が進む中、私たちは豊かな海を未来に継承するため、
藻場の再生プロジェクトを推進しています。
藻場は「海の森」として、海のさまざまな生き物に産卵場や稚魚の住処を提供することで
生物多様性の維持に貢献し、持続可能な漁業に重要な役割を果たします。
また、光合成により二酸化炭素を吸収するため、地球温暖化の抑制に貢献すると言われています。
本プロジェクトでは、藻場の再生を通じて、未来の豊かな海を守る活動を行っています。

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海の中の大切な「森」

そもそも藻場って何?

藻場とは、海中に広がる海藻や海草の群生地で、「海のゆりかご」とも呼ばれます。
魚や貝類の生息地や産卵場となり、水質の浄化二酸化炭素の吸収にも貢献します。
また、波の力を和らげ、海岸浸食を防ぐ役割も果たします。
藻場は豊かな海洋生態系を支える重要な存在であり、持続可能な漁業にも欠かせません。

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藻場の果たす役割

なぜ藻場が重要なの?

水質の浄化
藻場は、海水中の窒素やリンなどの栄養塩類を吸収し、富栄養化を防ぎます。また、光合成によって酸素を供給することで、水質の改善にも貢献します。
生物多様性の維持
藻場は「海のゆりかご」とも呼ばれ、多くの海洋生物にとって生活の場や産卵・育成の場を提供します。幼魚や小型の海洋生物が捕食者から身を守るための隠れ場所となり、多様な生物が共存できる環境を作り出します。
二酸化炭素の吸収と
気候変動緩和
藻場は、光合成を通じて大気中の二酸化炭素(CO₂)を吸収し、炭素を固定化します。これは「ブルーカーボン」と呼ばれ、地球温暖化を抑制する自然のカーボンシンク(炭素の貯蔵庫)として期待されています。
水産資源の育成と経済効果
藻場は、漁業資源の生産地としても重要です。アワビやウニ、サザエ、魚類など、商業的価値の高い海産物の生息地となり、持続可能な漁業の基盤を支えます。
海岸線の保護
藻場は波の力を弱め、海岸侵食を防ぎながら、砂浜や沿岸の安定性を維持し、多くの海洋生物が生息できる環境を提供します。
環境教育と
レクリエーションの場
藻場は、子供から大人まで自然や環境を学ぶ場としても役立ちます。シュノーケリングやダイビングなどのレクリエーション活動を通じて、海洋環境保護の大切さを直接感じることができます。
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藻場の危機的な現状

海の砂漠化、磯焼けとは?

磯焼けとは、海藻の群落(藻場)が衰退し、ほとんど植物が育たない「貧植生状態」となる現象です。
これは、自然の季節変動や経年変化の範囲を超えて発生し、藻場の回復には長い年月を要します。
日本沿岸の藻場は1990年代頃に約20万ヘクタールありましたが、13年間で約6,400ヘクタール減少したと言われています。そのうち、磯焼けによる消失約1,016ヘクタールにのぼります(環境庁, 1994)。
近年では、ほぼ全ての都道府県で磯焼けが報告されており、特に静岡県御前崎では8,000ヘクタールの藻場が消失したと言われています。藻場が失われることで、海藻を食べる魚や貝、さらにはそれを捕食する生物たちにも大きな影響を与え、沿岸漁業や地域の生態系に深刻なダメージを及ぼします。

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磯焼けの原因と海の生態系への影響

なぜ磯焼けが起こるのか、
その影響は?

藻食動物の増加
ウニや藻食性魚類(アイゴ、ブダイ、ニザダイなど)などの藻食動物が海藻を食べ尽くすことにより、藻場が消失します。特にウニは、密集すると「ウニ焼け」と呼ばれる不毛地帯を作り、藻場の回復を阻害します。
温暖化の影響
海水温の上昇により、藻食動物の摂食活動が活発化します。また、台風や暴風雨の激化により、土砂の流入や海藻の流出も増加し、藻場が傷つきます。
沿岸開発と環境変化
防波堤や消波ブロックの増加により、海底が静穏化し、堆積物が溜まりやすくなります。
これにより、海藻の芽生えや成長が阻害されます。

磯焼けが進行すると、海藻が減少するだけでなく、それに依存する魚介類の成長不良や生息数の減少が進み、さらには沿岸漁業への影響も避けられません。

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藻食動物による食害対策と磯焼けの回復

磯焼けの対策とは?

磯焼け対策として、海藻の移植、藻食動物の駆除や天敵の活用、藻場の環境改善などが挙げられますが、どれもコントロールが難しく、持続可能な藻場の再生モデルの構築が期待されています。

Alliance for the Blueの藻場再生プロジェクト

PRODUCT for the BLUEの売り上げの一部とSUPPORT for the Blueの寄付金が
「藻場再生プロジェクト」の活動資金に充てられ、地域の漁業者、自治体、ダイバー、
全国の企業、専門家とアライアンスを組み、取り組んでいます。

奄美大島 瀬戸内町での取り組み

活動の鍵は、漁業者と自治体、ダイバーの協働

奄美大島の瀬戸内町でも磯焼けが問題となっており、かつて海底に生い茂っていた海藻が減少し、海の生態系に大きな変化が起こっています。
その磯焼けの原因の多くは魚による「食害」であることが考えられ、囲い網や仕切り網を設置して食害を防ぎ、海藻が成長するか調査した結果、海藻が順調に成長することが確認されました。今後は、母藻となる藻場を育て、胞子がたくさんつくように投石などで水中環境を整え、多くのエリアに移植する予定です。
この取り組みは漁業者と自治体、ダイバーが協力して行っており、瀬戸内町での実験が順調に進めば、「藻場の再生モデル」として確立し、全国に展開する計画です。海の資源は水産資源としても観光資源としても重要であり、若者たちが共同して自然環境を持続可能にすることを目指しています。

藻場再生モデル

母藻が育つ
藻場を育成
自生している藻場の食害を防ぐために食害防止ネットを設置し母藻となる藻場を育成。胞子がつきやすい海底環境を作り出すために投石などをおこなう。
胞子の着床
成長した藻場で、母藻から放出される胞子を事前に海底に投石した石に着床させる。
移植
胞子がついた石や仕掛けを別の磯焼けが確認されている場所へ移植し、囲い網や仕切り網を設置。食害を防ぎ藻場の成長に繋げる。
成長を確認
移植した藻場の成長を定期的に確認し、管理。
成長した藻場から胞子を採取し再び移植を行うことで藻場を拡大。

この『藻場の再生モデル』を日本各地の磯焼けの影響によって藻場が失われている場所で取り組めば藻場再生に寄与すると考えられます。
この活動を通じて、健全な海の生態系が復活し恵み豊かな海が次世代に継承されていくことを目指します。

協働企業・団体

瀬戸内漁業協同組合 / 瀬戸内町「ネリヤカナヤの海」協議会